テント倉庫における消火設備について解説!
リーズナブルな予算と短い工期で完成することから人気の高いテント倉庫ですが、消火設備のルールを守らなければいけません。ルールを守らずにテント倉庫を設置すると、火災が起きたときに人命や財産に危害が加わるでしょう。本記事ではテント倉庫における消火設備の決まりや必要なものについて、工事にかかる費用と一緒に解説します。
テント倉庫における消火設備の決まりとは?
テント倉庫は法律上で建物に該当するため、建築基準法や消防法といったさまざまな法律を遵守して設置・使用しなければいけません。消火設備について細かく内容を定めているのが、消防法です。消防法とは火災発生の防止だけでなく、万が一発生してしまった場合も被害を最小限に抑えるための法律です。
消防法を守らず、火災による死傷者が出ると、法人の場合で最高1億円もの罰金が科されます。以下で消防法における、消火設備の決まりを見ていきましょう。
防火管理者の選任
テント倉庫で多数の者が働いたり、利用したりする場合は、防火管理者を選任しなければいけません。防火管理講習修了者など、防火対策・対応に一定の知識を持つ者から選びます。
防火管理者はそれぞれのテント倉庫に合った消防計画を作成し、さらに消防設備や施設の点検・整備、避難訓練の実施、火気使用に関する取りあつかいの監督、収容人員の管理などを担います。
テント倉庫の面積に応じた消火設備の設置
テント倉庫はその面積に応じて、いくつかの消火設備を設置する必要があります。面積が広くなればなるほど、火災が発生したときの被害や影響が大きくなりやすいため、より多くの設備が必要です。以下は面積に応じて、設置すべき消火設備の種類です。
・500㎡未満:消火器
・500㎡以上:消火器、火災報知器
・700㎡以上:消火器、火災報知器、屋内消火栓
それぞれの消火設備の詳細は、後で紹介します。
定期的な点検と報告
前述したように、防火管理者には消防設備や施設の点検・整備が求められます。いくら消火設備がそろっていても、実際に火災が起きた際に正しく作動しなければ意味がありません。そのため、日頃から点検をして、万が一のときも使えるようにしておくことが大切です。
消防法では6か月ごとに行う「機器点検」と、1年に1回行う「総合点検」の2種類があります。
機器点検は簡易的な点検で、主に目視で行います。対して総合点検はテント倉庫内に設置されている消防設備を実際に作動させて、正しく使えるかどうかをチェックするものです。点検の結果は、所轄の消防庁や消防署長へ定期的に報告します。
消防用設置で必要なものとは?
テント倉庫の消防用設備で必要なものは、主に次の3つです。
消火設備
消火設備は火災が起きた際に、火災の元を直接消火するものです。消火器やスプリンクラーのほか、屋内消火栓などが該当します。消火器は「防火対象物から歩行距離で20m以内に設置する」「緊急時でもすぐに持ち出せる場所へ設置する」といった決まりを守らなければいけません。
ひと口に消火器といってもいくつかの種類があり、種類ごとに消火能力単位が定められています。まずはテント倉庫の面積を明確にしたうえで、消火能力単位に応じた消火器の設置数を算出しましょう。
屋内消火栓は、700㎡以上のテント倉庫で設置が義務です。倉庫内で消火活動をするときに必要な水を供給するための設備で、箱型の設備内にホースが入っています。2人以上で取りあつかう1号消火栓と、1人でも使える2号消火栓がありますが、2号消火栓は放水性能がより劣ります。
そのため、テント倉庫では一般的に1号消火栓が用いられるでしょう。
警報設備
火災が起きたときに、いち早く知らせてくれるのが警報設備です。火災報知器や火災通報装置、ガス漏れ警報器、非常放送設備などが該当します。
避難設備
テント倉庫や施設内にいる人が、安全に避難するための設備を指します。非常用照明器具のほか、避難経路を示す誘導標識などもあるでしょう。
消火設備工事にかかる費用はどのくらい?
消火設備工事の具体的な費用は、設置するものや数などによって異なります。以下は工事にかかる費用の一例です。
・消火器設置工事:5,000円~1万5,000円
・自動火災報知設備工事:15万円~40万円
・非常警報設備工事:3万円~6万円
内容によっては非常に大きな金額となるかもしれません。できるだけ費用を抑えるために、複数の業者へ見積もりを依頼して、内容を比較してみることが有効です。
まとめ
テント倉庫における消火設備は、建築基準法や消防法のルールを守る必要があります。ルールを守らないと、火災時に大きな被害が生じる可能性があるため注意しなければいけません。防火管理者の選任やテント倉庫の面積に応じた消火設備の設置のほか、定期的な点検と報告が求められるでしょう。
消防用設備で必要なのは、消火設備・警報設備・避難設備の3つです。テント倉庫ごとに必要とするものを吟味し、安全対策を講じてください。ただし、消火設備工事の費用は設置内容によって異なるため、複数の業者へ見積もりを依頼するのがおすすめです。