テント倉庫の耐用年数って?耐久性・耐震性をほか工法と徹底比較!

公開日:2022/11/15   最終更新日:2023/01/04

倉庫

会社を経営していると、自社で倉庫を保有したいと考えるケースがあるでしょう。しかし一口に倉庫といっても、テント倉庫やプレハブ倉庫、システム倉庫といった選択肢があります。それぞれに特徴がありますが、テント倉庫は建てやすい強みがあります。しかし、テント倉庫はほかと比べて耐久性が劣るため、どのくらい長持ちするか気になる方もいるのではないでしょうか?そこで本記事では、テント倉庫の耐用年数や耐久性、耐震性について解説。ほかの倉庫との違いについても解説するので、参考にしてください。

テント倉庫の耐用年数は10~20年程度

自社で倉庫を持ちたいと考えている経営者の方は、そもそもどのような種類の倉庫があるのか知らない方もいるでしょう。倉庫は工法や素材によって3種類に分けられ、テント倉庫、システム倉庫、プレハブ倉庫があります。その中でも建設費用を抑えたい方におすすめなのがテント倉庫です。

テント倉庫は名前の通り、骨組みにシートを貼るだけでの倉庫。部材を多く使わないこと、シンプルな手順で完成させられるため、費用を抑えられるのです。また、建設にかかる工数が少なくすむと、工期が短くなって人件費がかからないのも費用を抑えられるポイントでしょう。

ただし、倉庫となると気になるのが耐用年数です。せっかく費用を抑えて建設できたとしても、数年で高額なメンテナンスがかかるとなると安い意味がなくなってしまいます。基本的にテント倉庫の耐用年数は1020年程度です。システム倉庫が30年から、プレハブ倉庫が20年からの耐用年数となっているため、ほかの工法のテントに比べると耐用年数は短いといえます。

ただし、耐用年数というのはあくまで目安であり、設置場所によっては耐用年数を長持ちさせられるケースもあるのです。一般的にテント倉庫が傷みやすくなる設置状況は、潮風が吹く場所、自然災害が多い場所、日当たりがよい場所とされています。どのような場所に設置するのか、設置場所に対して耐用年数は何年か、ランニングコストや初期費用を考慮し、総合的によい工法のテントを選びましょう。

テント倉庫は一般的な鉄骨建築物より耐震性に優れている

テント倉庫の魅力は、工期が短く建設費用が安いことだけではありません。シンプルな構造になっている分、耐震性に優れているのです。耐震性は工法や建物本体の重量などさまざまな要素をかみして総合的に判断されます。基本的に、建物の重さに比例して地震への被害は大きくなります。一般的なテントには鉄材などが使用されますが、テント倉庫に使用している素材は軽い骨組みとテントのみのため、地震に強くなっています。

そのため、倉庫本体の重量が軽く、一般的な鉄骨建造物よりも耐震性に優れています。日本は地震大国であり、いつ大きな地震が発生するかわかりません。大震災が発生したら、余震や津波の被害もあるでしょう。そのため、日本で倉庫を建設する際は、耐震性も見逃せないポイントなのです。テント倉庫は、安全限界レベルの地震に対しても、重量が軽く揺れを最小限に抑えられることから、テントは破れる危険性がないと判断されています。

テント倉庫とほか工法で建てられた倉庫との違いを比較

倉庫を建設する際、工法ごとの違いを知っておかなければ迷うことになるでしょう。まず、テント倉庫は工期の短さや建設費用の安さが特徴です。ただし、耐用年数がほかの工法に比べて短いことや移動・増設がむずかしいのがデメリットです。耐用年数や倉庫本体の強度、自由度の高い設計といった倉庫の性能面を追求したい方には、システム倉庫がおすすめ。

CADを使って設計を行い、生産や見積もり、素材選びなどをすべてコンピュータで行います。精度が高く、耐用年数も30年ほどです。しかし、ほかの工法に比べて工期が長い、建築コストが高い点はデメリットといえます。性能と費用のバランスをとるなら、プレハブ建築がおすすめです。

必要なパーツを生産し、現場でパーツを組み立てていきます。プレハブ工法の費用はテント倉庫とシステム倉庫の中間程度で、移設・増設が得意です。将来事業を拡大したい、倉庫の場所を変更する予定があるといった場合には、プラハ部倉庫がぴったりでしょう。

テント倉庫の耐用年数を伸ばす方法

テント倉庫は基本的に外気へさらされるため、環境によって耐用年数が大きく変わります。システム工法やプレハブ工法と比較すると、テント倉庫の耐用年数は短いでしょう。ただし、ちょっとした一工夫で耐用年数を伸ばせます。こちらでは、テント倉庫の耐用年数を伸ばす方法について詳しく紹介していきます。

①設置する場所に配慮する

テント倉庫は設置場所の環境に影響されやすい特徴があります。そのため、同じ素材でも置く場所で耐用年数は大きく変わります。たとえば、テント生地が傷みやすい紫外線に当たる場所へ置かないことです。生地は紫外線に弱いので、日当たりを避けて設置すると耐用年数を伸ばせます。また、別の方法としては潮風の吹く場所への設置を控えるといった選択肢があります。潮風は鉄骨を腐食させやすいので、立地を考えて設置するのがおすすめです。

②テントの資材を変える

次に配慮すべきポイントは、テントの資材です。テント倉庫の耐用年数は使われている資材にも大きく関係しています。テント倉庫で主に使用される資材の耐用年数は以下の通りです。

膜材:10~20年
鉄骨フレーム:30~40年

膜材は軽さ・薄さを重視して作られることが多いので、フレーム部分と比べて耐用年数は短くなります。しかし、膜材の中でも機能性をもっているのもあり、立地で持続性が変わる場合があります。例えば、「クールテント」は夏の屋外でも快適に過ごせるように、ふつうの生地と比べて紫外線への耐性が高いです。また、「高強度テント」は生地の強度に注力することで、通常よりも破れにくくなっている強みがあります。このほかにも、資材には不燃性や防カビ性などを持たせることが可能です。
テント倉庫を長持ちさせるためには、配置や構法だけでなくこうした素材にも注目するとよいでしょう。

このようにテント倉庫は、使われる素材や環境で大きく変わります。そのため、細かいところまで配慮するのが耐用年数を伸ばすためのポイントです。少しでも劣化を発見したら、こまめにメンテナンスをしましょう。1か所が劣化してしまうと、劣化した部分から雨漏りが入り込んで急速に倉庫全体が傷んでしまいます。そのため、ちょっとでも骨組みやテントに劣化状態が見られたら、専門家にメンテナンスしてもらうのが重要です。

テント倉庫のチェックポイントを紹介

テント倉庫の耐用年数を伸ばすためには、劣化具合をチェックする必要があります。しかし、初めてテント倉庫を導入した方はどこをチェックすればよいか迷うことでしょう。そこで、こちらではテント倉庫において特にチェックしてほしい3つのポイントを紹介します。

①テント生地

テント倉庫において最も劣化が激しいのはテントの生地部分になります。軽さを重視した素材になっている上、外気にさらされる部分のため、定期的にチェックしなければなりません。ここでチェックするのは、生地の破損や生地と鉄骨の固定具合です。小さい箇所の破損であれば自力で修復できますが、気になる方は業者へ依頼することをおすすめします。

②骨組み

次にチェックすべきポイントは、柱などの骨組み部分です。骨組み部分のチェックポイントは、鉄骨のゆがみやサビ、破損箇所の有無になります。これらを怠ると、テント倒壊による事故につながる可能性があるため、必ずチェックするようにしましょう。

③その他部品

テント倉庫のチェックでは建物本体に目がいきがちですが、扉や換気扇などの動作がきちんとできているかも確認しておきましょう。部品が劣化している場合は、交換するのも忘れないでください。

テント倉庫のメンテナンス方法は?

テント倉庫のメンテナンス箇所は①生地部分、②柱部分の2つに分かれます。生地部分は自力での修復が可能です。テント生地に破れや穴が発生した場合は、補修テープや生地の張替えを行いましょう。一方、柱部分に欠陥が発生した場合は、自力での修復が難しくなります。鉄骨が劣化すると溶接によるメンテナンスが必要になるので、業者へ依頼するのがよいでしょう。

業者へ依頼するメリットはほかにもあります。例えば、業者のアドバイスをもとに、メンテナンスや修繕の質を大きく上げることが可能です。プロの意見を参考にすることで、劣化によるさまざまなリスクを減らせます。他にもテント倉庫の劣化について不安に思うことがあれば、遠慮なく業者へ相談してください。メンテナンスによる長期的な修繕費を下げられる可能性もあります。

テント倉庫を長持ちさせるには、定期的なメンテナンスが重要です。メンテナンスが遅れると、腐食や劣化が進んでしまいます。また、メンテナンス不足により、倉庫内の被害や害虫の侵入など二次被害が発生することもあります。テント倉庫の耐用年数を伸ばすためにも、メンテナンスは欠かさずに行いましょう。

まとめ

今回の内容をまとめると以下の通りです。
①テント倉庫の耐用年数は10~20年程度
②テント倉庫の耐用年数は環境で大きく変わる
③テント倉庫は耐久性の高さが強み、耐久性の低さが弱み
④定期的なチェックとメンテンナンスを忘れずに行う

今回はテント倉庫の耐用年数や長持ちさせる方法について解説しました。テント倉庫はシンプルな素材、工程で建設するのが特徴です。そのため、短い納期・リーズナブルな費用で倉庫を建てられる強みがあります。ただし、ほかの倉庫と比較して耐用年数が短かったり、増築・移設には向いてなかったりすることがデメリットとして挙げられます。それでも、素材やメンテナンスに配慮することで耐用年数を伸ばせるので、最もコストパフォーマンスの高いテントであるといえるでしょう。そのため、初期費用やランニングコスト、倉庫に求める要素を明確化し、適した工法を選んでください。

 

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